2019年04月03日 一覧に戻る
肛門外科の紹介

おしりの悩み、ありませんか?

 

痛み、かゆみ、出血、脱出、腫れ、膿がでる、下着が汚れる、拭きにくい、残便感、便が細い等の症状はありませんか?

 

当科で主に診療する肛門三大疾患について解説します。

痔は、「痔核(いぼ痔)」「痔瘻(あな痔)」「裂肛(きれ痔)」の3種類に大きく分けられます。

 

痔核(いぼ痔)

 肛門には、肛門クッション組織といわれる、パッキング的な構造でその閉鎖に役立っている正常組織があります。排便や日常生活の中で、この肛門クッションの支持組織が引き延ばされたり、分断されるたりすることによって痔核が形成されると考えられています。

 当科では、まずは可能な限り生活習慣や排便習慣の改善を行います。手術はALTA療法を主に行っております。痔核に直接ジオン注を注射することにより、炎症を引き起こし繊維化させることで、この緩んだ支持組織を補強します。ALTA療法を内痔核に施行し、吊り上がりきらかなかった外側部分のみを切除します。注射は粘膜部分にのみ行いますので痛みは感じません。切除は、液体、固体、気体を区別することのできる敏感な部分より外側で行いますので、従来の結紮切除術に比べ痛みは軽度です。ALTA療法単独であれば、日帰り手術が可能です。腰椎麻酔下(下半身麻酔)での切除の場合でも、入院期間は3泊4日程度です。また、副腎皮質ホルモン剤や抗凝固・血小板剤を内服中の患者様も治療可能です。ALTA単独療法の場合は翌日からいきむことも可能です。ALTA併用療法の場合でも、多くの場合、翌日からいきむことは可能です。

 現在までのところ、ALTA単独療法またはALTA併用療法を行った患者様で、効果がなかったあるいは効果を感じられたなかった患者様は約1%でした。十分な効果を得られなかった、または外側痔核が残存した等で、追加処置が必要であった患者様は約5%でした。ALTA単独療法およびALTA併用療法の患者様で、外科的止血処置を必要とする出血は0.5%未満でした。

 

☆皮膚痔(皮垂、スキンタグ)

 肛門周囲の皮膚が炎症を起こして腫れが生じ、その腫れが引いた後にたるみが生じることがあります。拭きにくさ、かゆみ、時には痛みを生じることがあります。炎症の原因としては、痔核、血栓、妊娠や出産があります。さらには、肛門手術後にも生じる場合があります。また、きれ痔による慢性的な炎症による場合もあります。

 症状がなくとも、形が気になるといったお悩みもあるかと思います。炎症によって生じたたるみなので、通常の切除では再腫脹の可能性もあります。当院では、皮膚のみ浅く切除し、必要ならばALTA療法等を併用することによって、切除創が肛門管内に還納した状態にするといった、再腫脹が起こりにくい工夫をしています。

 

痔瘻(あな痔)

 肛門縁から1.5〜2.0cm奥に解剖学的な直腸と肛門の境界線である歯状線があります。この歯状線に一致して、肛門陰窩(クリプト)という小さなポケットが全部で6〜11個、平均して8個あります。内肛門括約筋と外肛門括約筋の間にある肛門腺より肛門道管という管が肛門陰窩に開口し粘液を分泌しています。便は常にこのポケットを通過することになりますが、通常は感染に対する防御力もあり炎症を起こすことはありません。ところが、トイレでいきんだり、ひどい下痢で大量の水様便が勢いよく出ると、便とともに細菌が肛門陰窩から肛門腺に押し込まれ、肛門腺が化膿してしまいます。この肛門腺に膿が溜まった状態を肛門周囲膿瘍と呼び、その膿が圧の少ない方向に徐々に進展し、1本の道となって外に開口してしまった状態を痔瘻といいます。
 感染した肛門陰窩を1次口(原発口)、感染した肛門腺を原発巣、外に開口した部分を2次口といいます。

痔瘻の手術は、この1次口と原発巣を完全に除去することが重要です。確実性と根治性を考えた場合、切り開く手術(lay open法)が基本となります。しかし、肛門を締める筋肉を損傷し、肛門が変形したり締まりが悪くなってしまいます。

 そこで、当院では主にシートン法という方法で治療しています。瘻管内にゴムひもを通しゆっくり時間をかけて締めることであまり変形を来さず治療することが可能です。入院期間は3泊4日です。

 

裂肛(きれ痔)

 裂肛は肛門菅の外側部分の肛門上皮に生じます。排便により肛門管に裂創を生じる肛門管外傷や肛門腺感染・肛門後方上皮の血行障害が原因であるといわれています。裂肛の肛門出血は強い痛み(「カミソリの刃」や「ガラス片」が通るような痛みと表現)を伴います。便の肛門管通過時から起こり、排便後にも続くことがあります。炎症の反復により、裂肛の直腸側には肛門ポリープ(肥大乳頭)を、外側の肛門縁には皮垂(見張り疣)を生じます。裂肛の治療は、基本的に生活習慣や排便習慣の改善と注入軟膏を用いた保存的治療となります。
 炎症を繰り返すことによって、肛門の柔軟性が失われ、さらには狭窄してしまった場合には手術適応となります。当科では主にSSG法(Sliding Skin Graft)を行っています。入院期間は3泊4日です。
また、大きく脱出するようになった肛門ポリープや不快感を伴うような皮垂も手術適応となります。


 当科ではいきなり手術をお勧めするのではなく、まずは生活習慣や、排便習慣の改善により症状の改善を図ります。また、話しやすいことをモットーとしておりますので、こんな症状で病院に行っていいのかなあなんて不安も無用です。お気軽に受診してください。

 


担当医からのご挨拶

 

肛門科部長 能山 智宏(滋賀医科大学 平成11年卒)

 

日本外科学会 専門医

日本大腸肛門病学会(IIb(肛門科))専門医

日本臨床肛門病学会 臨床肛門病技能認定医

日本ヘリコバクター学会 H.pylori(ピロリ菌)感染症認定医

第68回臨床外科学会総会 Freshman Award 優秀賞受賞

 

卒後より消化器外科一般、特に胃・大腸がん手術や腹部救急を中心に診療してまいりました。その傍ら、奈良大腸肛門病センター 稲次直樹先生のもとで1年3ヶ月、ALTA療法(ジオン注®︎を用いた硬化療法、切らずに注射で行う痔核治療)の開発治験医師である高村寿雄先生のもとで5年7ヶ月、大阪北逓信病院 斎藤徹先生のもとで1年1ヶ月、肛門科診療を専門的に学ぶ機会に恵まれました。この度、大阪中央病院 肛門外科部長を経て、当院にて肛門科を開設させていただくこととなりました。話しやすい先生をモットーに診療しております。おしりの悩みがございましたら、お気軽に受診ください。